不動産と行政法の関わり(景観法)
一般の方で行政法という言葉を聞いたことがある人はごく少数かと思います。役所の職員や行政に携わる仕事をしている人以外は、行政法というものは自分たちの生活にあまり関係のないことなのかと考えてしまうかもしれません。しかし、行政法は私たちの生活に密接に関係する法律なのです。
行政法とは、国や地方自治体が法律に基づき社会を形作るために必要なルールを定めた法律の総称とされています。
不動産というものはその社会基盤を作る重要な要素のひとつですので、不動産に関わる行政法は実に多岐に亘ります。代表的なものは、都市計画法、建築基準法、農地法等です。
今回は、不動産に関わる行政法のひとつである、景観法について触れてみたいと思います。
景観法は高度成長期に都心部に無秩序に建てられて中高層住宅等によって乱れた景観を改善する為に、2004年に景観に関する一般法として制定されました。
景観法には、国、地方公共団体、住民といった全ての関係者に対して、それぞれの立場においての責務を定めています。
具体的には、『国は景観の施策と啓発を行うこと』
『地方公共団体は区域に合わせた景観政策を策定・実施すること』
『事業者は良好な景観の形成に努め、国や地方公共団体に協力すること』
『住民は景観形成に積極的な役割を果たし国・地方施策に協力すること』となっています。
正に官と民が一体となって美しい景観の維持に努めていくことがはっきりと定められているのです。