不動産の電子取引について その2

3. 宅建業法の改正

令和4年5月の宅建業法の改正によって、不動産取引の際に交わされる書面について、電子契約が解禁されました。

具体的には ① 媒介契約書 ② 重要事項説明書 ③ 契約書(37条書面) 

④ 指定流通機構登録証明 です。 不動産取引に交わされるほぼすべての書面において電子契約が可能となりました。

4. 電子契約によるメリットとデメリット

電子契約にすることのメリットですが、第一はコストの削減です。 通常契約書の書面を交付する際に収入印紙を貼付しなければならないのですが、電子契約により契約書面を交付する場合は収入印紙が不要となります。また、遠隔地にいる人との契約する場合は契約書を郵送していたのですが、それも不要となります。 そして、書面をデータでやり取りすることになるので、契約業務の効率化、スピードアップが図れます。 更にもうひとつは、電子認証局等の第三者機関が契約に介在するので契約書の改ざんといった不正行為も防止できるので、コンプライアンスを担保することにもなります。

一方でデメリットですが、基本的にインターネットを使用してパソコンでやり取りすることになるので、インターネット環境のないところでは出来ませんし、パソコン操作に不慣れな人には難しいと思います。そして契約の当事者の全員の同意がなければ、電子契約による不動産取引は行えません。

今、現在のところ、正直あまり不動産の電子契約は普及していないのが現状のようですが、ここらへんのことが原因としてあるように思います。