論理的思考実験 テセウスの船

今回からビジネスの場でも役に立つ、論理的思考力を養う為の思考実験について紹介していきたいと思います。

「テセウスの船」

この話はローマ帝国の時代のギリシャ人倫理学者プルタルコスによる伝説が元ネタとなっています。

 テセウスの船は建造されてから、長い年月が経っていました。船を作った職人の技術は伝承され、建造当時の設計図のもと、当時の手法で同じ種類の材料を使って修復されていました。修復が繰り返された結果、建造当時の材料はほとんど入れ替えられてしまっていました。

そのテセウスの船を見てある人は「この船は、もはやテセウスの船ではない」と言いました。 またある人は、

「この船はずっとテセウスの船として修復され保存されてきたのだから、この船ががテセウスの船であることに疑いはない。」と言いました。どちらの意見が正しいのでしょうか?

どちらの、意見が正しいとは単純に答えることは出来ません。ここで考えるべきなのは、何をもってその船がテセウスの船だと言えるのかということなのです。

仮に、船ではなく家と置き換えたとした場合、もともとあった家を取り壊して、同じ材料を使って同じ家を建て替えたとしたら、その家は同じ物件だと言えるのでしょうか?

この場合、法律的な観点から言えばその家はもともと建っていた家とは別の建物として扱われます。

でも、ちょっとづつ家の部材を入れ替える修復を続けた結果、ほとんど元の建物とは違う建物となってしまったとしたら、どうなるのでしょう・・・

こんな感じで頭の中で思考実験を繰り返すことから、思わぬビジネスの種が生まれるような気がします。