不動産業のDX化について
AĪと宅建業の親和性 その2

前回に引き続きまして、宅建業の業務の中でAĪと親和性のよいもの(AĪが得意とするもの)とそうでないものとの違いを具体的な業務を取り上げて考えていきたいと思います。
➁ 価格査定
物件を売却する際の売却価格について根拠となる金額を割り出すために価格査定が必要となります。
不動産の価格を決定する際には不動産に特有の価格の三面性というものに注目する必要があります。
価格の三面性とは以下のようなものです。
一. 費用性 その不動産を作り出すのに、いくらぐらいかかるか
二. 市場性 その不動産はいくらぐらいで取引されているか
三. 収益性 その不動産によってどれぐらいの利益が得られるか
これらは、客観的な数値とデータによって割り出されるので、データ収集と計算を得意とするAIにとっては特に親和性のよい業務と言えると思います。実際AIによる価格査定はすでに実用化され、導入する不動産業者も増えつつあるようです。
③ 図面、見積り、契約書類等の書類作成
図面といっても、建築図面や測量図面等の複雑で正確性を要求されるものもあれば、間取り図や付近の見取り図等の比較的簡易な図面もあります。
宅建業では主に間取り図や敷地と道路の関係図といった比較的簡易な図面が必要なことが多いので、こういったものはAIには簡単に作成できると思います。
売買金額や諸費用の計算も得意なので、見積りも容易に作成できるでしょう。
契約書や重要事項説明書の作成は宅建業において、最も重要な業務であるといえますので、現在のAIの技術においてはまだ充分ではないと思います。ただ近い将来AIの技術が進化すれば十分可能ではないでしょうか。
最後に書面の説明ですが、AIには音声認識機能があるので、ある程度の説明や質問に対して解答することは可能だと思います。ただ、難解な内容を分かりやすく説明するのは今の技術では難しいでしょうし、なにより重要事項の作成と説明には宅建士の資格が必要となります。(将来AI宅建士が登場するかもしれませんが(;^_^A)
以上のことから、宅建業においても業務の大方の部分がAIによって代替可能であると思います。
我々宅建業者は、将来AIにとって代われない価値をいかに顧客に提供していくのか問われているのかもしれませんね