法律豆知識
犯罪収益移転防止法について
この法律は、マネー・ローンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与を防止し、国民生活の安全と平穏、経済活動の健全な発展に寄与することを目的としています。マネー・ローンダリングという言葉はドラマや映画でしか聞いたことがない言葉かもしれません。ただ身近に行われる不動産取引にもこの法律は関わっているものなのです。
マネー・ローンダリング(資金洗浄)とは
犯罪によって得た収益(犯罪収益)を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による発見や検挙を逃れようとする行為です。例えば、架空名義の口座を利用したり、送金や両替を繰り返して資金の形態を変えたりする行為などがこれにあたります。
犯罪収益移転防止法では、マネー・ローンダリングに利用されやすいと想定される特定の事業者(特定事業者、宅建業者もこれに当たります)に対し、以下のような義務を課しています。
1. 取引時確認(本人確認)の実施
特定取引(不動産取引)を行う際に、顧客の本人確認を義務付けています。
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個人のお客さまの場合: 氏名、住居、生年月日、職業、取引を行う目的などを確認します。
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法人のお客さまの場合: 名称、本店または主たる事務所の所在地、事業内容、取引を行う目的、そして法人の議決権の25%超を保有する実質的支配者(法人の活動を支配する個人)の氏名、住居、生年月日などを確認します。
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2020年4月の改正により、顔写真のない書類1点のみでの本人確認が原則不可となるなど、確認方法が厳格化されています(例:eKYC(オンラインでの本人確認)の導入)。
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2. 取引記録・本人確認記録の作成・保存
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取引時確認を行った記録(本人特定事項や確認方法)を7年間保存することが義務付けられています。
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特定取引に関する記録(取引の日付、種類、額など)も7年間保存することが義務付けられています。
3. 疑わしい取引の届出
『特定事業者(宅建業者)は、顧客との取引において、収受した財産が犯罪収益である疑いがある場合や、マネー・ローンダリングが行われている疑いがある取引を検知した場合、速やかに警察庁の**金融情報機関(JAFIC:日本版FIU)**に届け出なければなりません』 因みに賃貸借の契約は特定取引に当たりません。
我々宅建業者は取引時に本人確認を義務付けられています、ご協力をお願い致します。